熊本地震でバランスを崩した心と身体を、薬膳(中医学)的見地からケア (1)

かなり久しぶりの投稿になってしまいました。私事ですが4月14日(木)の熊本地震以降、ずっと震災支援に追われていて、記事更新もすべてストップ状態。しかし、いろんな支援をしながら被災者の人たちの表情や症状をみていく中でひょっとして今まで勉強してきた薬膳の知識がみなさまのお役に立てるのではないかと思い、おこがましくもこうして筆をとりました。

未だ余震が収まらない被災地(熊本)。地震からくる恐怖心は相当なもの

特にこのゴールデンウィークは、支援活動の合間を縫って熊本入りしたり、体調の悪い熊本の友人が我が家で療養していたりしたのですが、その時に感じたのは被災者の方たちの地震からくる恐怖心は相当なものだということでした。

私が住む福岡県内も震度5強の揺れでしたが、熊本は5月5日の時点で最大震度7が2回、震度6強が2回、震度6弱が3回、震度5強が4回、震度5弱が7回、震度4が85回。先月14日以降の地震の回数を合わせると、およそ1232回に達します。その恐怖たるや、想像を絶するものに違いありません。今日に至っても震度4の余震が数回きていたようですし、普通の人間なら、体調もおかしくなって当然です(>_<)。まずは身近な人たちから癒やしてあげようと、薬膳の叡智を活用してみることにしました。

【五行色体表】で見ると、「五志」の“恐”に対応する「五臓」は“腎”


友人知人らを観察していると、とにかく音と揺れに敏感になっています。普段私たちが気にならないような生活音、例えばちょっとしたドアの音でさえ、ギュっと身をすくめて驚いています。中医学的に考えると、これは腎に相当な負担がきているはず。気血水でいうところの気も落ちていくだろうし、それにつけ胃腸の働きも低下。さらに、腎の働きが下がれば水分代謝もうまくいかなくなって、むくみなども生じてくるはず。地震からくる恐怖心が、心身のバランスをことごとく崩しているのが理解できました。感じたことをざっと書いちゃいましたが、これを簡単に解説しますね。

以前の記事(薬膳うちごはんの基本)で、【陰陽五行説】や【五行色体表】の話には少し触れました。この五行色体表にはまだまだ続きがあって、この五行の中には怒・喜・思・憂(悲)・恐(驚)の五つの感情を記した「五志」(ごし)というものがあります。これらは肝心脾肺腎という五臓にも関連しているので、この恐(驚)の関連性を見ていくと、おのずと腎に影響を及ぼすということが見てとれます。ちなみに恐=物事を恐れることが多い。驚=ちょっとしたことで驚くという意味です。さらに、五臓が嫌う「五悪」(ごあく)を見ると腎は寒にあたりますので、地震直後から肉親や友人らには、カイロでもなんでもいいからお尻の上の腰あたり(腎)を温めることをすすめました。

フィトアロマテラピーの力を借りて、心身ともに緊張感を緩和させる


続いて、うちに療養に来た友人には、まず恐怖でこわばった身体を少しでもほぐしてもらおうと入浴してもらうことにしました。入浴剤は私が長年愛用している、ポールシェリーのバスオイル。この日はペティグレン、メリッサ、オレンジなどのハーブがブレンドされた【リラクシング】をバスタブに投入しました。この香りが鼻腔から視床下部、脳下垂体まで伝達すると、循環効果を高めて身体の緊張をほぐしてくれる上に、精神的ストレスを緩和させてくれます。

さらに、ポールシェリーはスイスのフィトテラピーのブランドなのですが、独自の理論の中に先に説明した陰陽五行説も含まれています。バランスの乱れからトラブルを招くという、中医学や薬膳と同様の考え方が基本にありますので、こういった場合、安心して使うことができました。友人は頭痛と咳がとまらないという症状だったので、部屋には呼吸器系のトラブルに効果を発揮する、ユーカリのエッセンシャルオイルを入れたアロマテラピーを活用。入浴後、すぐに休んでもらえるように布団も敷いておきました。

ポールシェリー シルエットリラクシングバスオイル 150mL

お風呂上がりにはリラックス効果を生む、カモミール、メリッサ、ラベンダーがブレンドされたBIOのハーブティを飲んでもらいました。休む時は腎をあたためてもらいたかったので、ちょうどうちにあった「あずきのチカラ 首肩用 」をレンジで温めておいて腎に当てるや否や、横になると友人はスーーーっと寝落ちしてしまいました。震災後、しっかり眠れていなかったのでしょう。うちに来た当初はゴホン、ゴホンといっていた咳もどうやら治まったようです。こんな時のハーブやアロマの威力はホントにすごいです。今後また機会があれば詳しく書きますが、ハーブやアロマも薬膳と共通することがたくさん。界面活性剤や化学薬品との相性が合わない私は、日常からこういった自然の恵みを最大限に利用しています。さて、このまま翌朝に作った薬膳料理のことを書きたいところですが、思いのほか長くなったので次回に続きます♪


★まとめ
 1   度重なる余震の恐怖心は腎をいためている。
 2.  腎をいたわるには、まずあたためる。
 3.  恐怖心でこわばった心身をほぐすにはフィトアロマのバスオイルを活用。
 4.  咳が止まらない時には、呼吸器系に強いユーカリの精油を炊く。 
Share

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください