大分県福岡事務所さんから大量のかぼすをいただく!
秋も深まってくると、あたたかい食べ物が恋しくなります。そうなると頻繁に食卓に登場するのが、鍋料理。九州で鍋料理のマストな薬味といえば、なんといってもかぼすに限ります。かぼすは鍋だけではなく、焼き魚にかけてもいいし、意外かもしれませんが、お味噌汁に一絞りしてもとてもおいしくいただけます。
先日、ある仕事がご縁で、大分県福岡事務所さんから大量のかぼすをいただくことができました。どれもプリッとしていて、おいしそうです。
半分に切ってみると、いっぱい果汁が出てきて、シズル感も抜群!
さわやかな香りとまろやかな酸味が楽しめます。
スーパーで5,6個買うことはあっても、この量はさすがにない! 友人らにお裾分けすることも考えましたが、出張も控えていたのでそんな時間は到底なく。どうしたらよいだろう。考えた挙げ句、柚子胡椒ならぬ、かぼす胡椒を手作りしてみることにしました。
ですが、これだけの量のかぼすの皮を摺って、絞って、切って、、、という作業を1人でやるのかと思ったら、なかなかのため息もの。であれば、友人らを呼んでワイワイ作ってみるのもいいのかも。いきなり思いついて、その日に招集かけたら、友人2人が来てくれることに。そして、愉快なかぼす胡椒作りがスタートしたのです。
みんなでワイワイ作業すれば、なんとも楽しいかぼす胡椒作り♪
まず、かぼすをしっかり50℃洗いします。そして、庖丁で皮を剝く人、グレーターで皮を擦る人、唐辛子の種を取る人とそれぞれに手分けしました。手も口も動かしつつ、時折、ワイン飲みのみ、茹で落花生をつまみつつ、着々と作業は進みます。みんなバリバリ仕事をこなすキャリアウーマンなだけあって、飲み助なのに作業は手際よくさばけます。下準備は、意外とあっという間に終わりました。
ここまでくれば、あとはしめたもの。
フードプロセッサーにかぼすの皮と天然塩、かぼすの果汁を入れて、ミキシングするだけです。塩は奮発して佐賀の武富勝彦さんの「葦農 武富勝彦の伊都の塩 藻塩 300g」を使用しました。
やはり手作りのかぼす胡椒は絶品。アレンジも自在で重宝しそう!
かぼすの果汁は絞って、ジュースやポン酢に。種は25℃の麦焼酎に漬けて化粧水に。そして残りの残骸は、細かく刻んでコンポストにして堆肥にすることにしました。そう、貴重なかぼすだもの。余すところなくキレイに使ってしまいます。
ここで薬膳の見地からかぼすを解説してみましょう。
<かぼす>
五味:甘、酸
五性:平
帰経:脾臓・肺・胃
効果:開胃(食欲不振を改善)、理気(気の流れを整える)、消食(消化を改善)、止渇(口や喉の渇きを改善)、潤肺(肺を潤わせ、喉などを改善)
参考資料:日本中医食養学会 「食材性味表」より
こう見ると、かぼすは肺が乾燥する秋にぴったりの食材といえます。
大分県福岡事務所さんからいただいた資料によれば、かぼすは一年中楽しめますが、旬は8月中旬から10月にかけて。3月から8月まではハウス栽培のかぼす、10月から2月までは貯蔵のかぼすが出回っているようです。わたしもこのことは知らなかったので、思わずへぇ〜と思ってしまいました。
さらに、大分県はかぼすの全国生産量の約96%を占めているそう。日本で出回るかぼすは、ほぼ大分県産といっても過言ではないようです。なぜ大分でかぼすの栽培がスタートしたのかといえば、時は江戸時代。宗源という医師が京都から苗木を持ち帰ったのが、きっかけとなったようです。〜大分県臼杵市乙見地方に残る言い伝えより〜
かぼすの歴史を遡ると、またいろんなおもしろいエピソードに出会えそうな気がします。
初めて作ったかぼす胡椒ですが、とってもいい味に仕上がりました。武富さんの藻塩との相性もすごくよかったのか、なんとも言えない上品な味に。赤身の肉など焼いたものに添えてもおいしそうです。できあがったかぼす胡椒は、みんなで分けて持ち帰ってもらいました(*^_^*)
隠し味のかぼす胡椒がきいた、豚トロとかぼすのスパゲッティ!
かぼす胡椒のアレンジ料理として、たまたま冷蔵庫に買い置きの豚トロがあったので、スパゲッティに仕立ててみました。もちろん隠し味はかぼす胡椒。なかなかパンチが効いているおいしいパスタに仕上がりました。
さらに、赤身の肉を50℃洗いして、低温スチーミングをかけてバーナーで焼き目をつけます。この肉にもかぼす胡椒はとっても合いました。
<取材協力/かぼす提供>
大分県福岡事務所さん
https://www.pref.oita.jp/soshiki/10103/