薬膳うちごはん

秋の食養生・秋サンマと新生姜の炊き込みごはん

意識的に白い食材を使って、肺をうるおす秋の食養生

今回は秋の食養生のお話です。秋は食物の収穫時期で、おいしいものがたくさん出回る時季。アメリカやカナダでは“収穫感謝祭”というお祭りもあるほどです。左の写真は、我が家のある日の朝ごはん。秋の食養生をちょっぴり意識したものです。

夏から秋へ気温がさがってくると、喉がイガイガして、たまに痛みが出たり。なかには咳が止まらなくなったり、肌の乾燥が気になってきたという方も多いのではないかと思います。こういった症状に心あたりのある方は、呼吸を司る「肺」をうるおすことが大切。とりわけ肺は肌との関連も深い臓器ですので、その機能が低下すると肌を守るバリア機能も一気に低下。すると、水分代謝が悪くなって、肌が乾燥するだけではなく、恐ろしいことにシワを作ってしまうことにもなりかねません。

では、どういったものを意識して食べればいいのかというと、五行でいうところの五色は白ですので、ズバリ白い食材になります。もちろん、白ければなんでもいいというわけではありませんが、以前ご紹介した桔梗なども秋にはかかせない食材のひとつです。私は喉がイガイガするな〜と思った時には、梨をミキサーに入れてハチミツをちょっと垂らして梨ジュースを飲んだり、百合根にミルクを入れてポタージュにしたり。おかげさまで今年も風邪ひとつひかず、11月は長野、宮﨑、東京というように出張も続いていたのですが、健やかに過ごすことができました。薬膳を勉強する前は毎年秋になると風邪をひいていたのに、今じゃ元気そのもの。つくづく薬膳の叡智のすごさ、すばらしさを感じずにはいられません。

食欲の秋にふさわしい!
秋サンマとマイタケ、新生姜の炊き込みごはん

そんなわけで秋の食養生におすすめのメニューはたくさんあるのですが、今回は食欲の秋にもってこいの炊き込みごはんをご紹介いたします。私は晩秋になり、新サンマや新生姜を目にすると必ず作りたくなる一品です。

<材料>
白米3合、
サンマ1匹、新生姜は適量
通常はこれだけでも十分なのですが、今回はたまたまおいしそうなマイタケと目が合っちゃいましたので、マイタケも加えることにしました。マイタケをはじめとしたキノコ類は今とってもおいしい季節。炊き込みごはんの具材として入れることで、キノコ特有のうま味成分・グルタミン酸で味により深みが出ますし、免疫力アップにも一役かってくれます。マイタケの量はお好みで!
 

<作り方>
といっても実に簡単で、土鍋に洗っておいた米を入れ、その上にたっぷり新生姜を入れて、サンマ一匹とマイタケを土鍋に加えただけ。調味料はほんの少量の鮎魚醤を数滴と赤酒を入れて火をつけるのみです。お水の量も3合分の量を普通にいれました。

炊きあがると、、、プワァ〜となんともいい香りが!! まぜる前に、サンマの骨はざっと取っておきましょう。身はホロホロになっているので、写真のようにお箸ですぐに取れます。その後は、全体を軽くまぜて蒸らしておきます。

しばらくして、お茶碗によそえばできあがり。写真のように、黒ゴマを軽くかけておくのもよいですね。焼きサンマに大根おろしをのせお醤油をかけて…なんて王道の食べ方もすごく魅力的ですが、実はサンマは焼くと脂やコラーゲンが落ちてしまうことに。もともとサンマは「薬の魚」という異名を持つほど、さまざまな効能があり、なかでもビタミンB12と鉄分が含まれているので貧血予防にもぴったり。薬膳的にいえば造血作用があるうえに、炊き込みごはんにすることで胃腸の調子を整え、滋養強壮にもなることを請け合いです。新生姜もたっぷり入っているので、身体を芯からじんわりと温めてくれます。

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