身体が喜ぶ薬膳ラーメン、北九州・小倉の「蘭州ラーメン」

本業はライター、取材した飲食店もこの23年間でゆうに1万店超。そんな私が、仕事などで北九州に行ったら時間の許す限り、必ず立ち寄るお店があります。今回はそんなとっておきのお店のご紹介です。

数年前にバージョンアップして移転リニューアルした「蘭州ラーメン」


場所は小倉北区の古船場町。焼肉店が多いということで地元の方々が「焼肉通り」と呼んでいる道沿いに、「蘭州ラーメン」はあります。私がこの店を知ったのはかれこれ10年以上前。当時、仕事をご一緒していた、北九州のクライアントに教えていただいたのがきっかけでした。以前はお世辞にもキレイとはいえない雑居ビルの1階で、カウンターだけのこぢんまりとしたお店。色気のない暖簾が無造作にかけられていたりして、いい意味で異国情緒が漂っていました。

ところが、ここで食べた一杯の薬膳ラーメンに衝撃が走りました! なんというか、身体が喜んでいるのが分かったのです。それはおそらく、ほとんどのラーメンに入っている化学調味料などは一切入ってなくて、そのかわり生薬がふんだんに使ってあったからだと思います。身体は素直ですね。箸を進めるごとに身体がぽっかぽかと温まっていくのを感じました。視線を横に移すと、一緒に食べていたおっちゃんカメラマンはぽかぽかを通り越して、汗をだらだら流して「うまい、うまい!」と唸って食べています。よっぽど代謝があったのでしょう(笑)。この時はまだ薬膳を勉強するずっと前のことだったのですが、生薬の効き目に素人ながら驚きを隠せませんでした。トッピングされている牛のほほ肉は、口の中に入れるととろけるような柔らかさで、これまた忘れられない味になりました。私が通い出して数年後、ほんの数メートル先に店の大きさも拡がり、客席も増えた、まさにバージョンアップした「蘭州ラーメン」が移転リニューアルしてオープンしました。今では時間帯によって満席で入れないほどの人気店ぶりです。

牛骨スープの理由は、蘭州はイスラム教徒が多いからだった!


「昔から料理は最善の薬でした」と唱えるご主人。薬膳を学んだ身からすれば、心底、同感です。一般的にラーメンといえば、スープは豚骨や鶏、魚介、昆布などでとることが多いのですが、蘭州ラーメンは牛骨でとっています。実はそれが以前からとっても不思議で、先日思い切ってその理由をお尋ねしてみました。すると、「蘭州(中国)はイスラム教徒が多いエリアから、豚は食べられず牛でだしをとるんだよ」とおっしゃるではありませんか。えぇ〜正直、びっくりしました。まさかラーメンに宗教が関わっていたとは…。何でも聞いてみるものですね!  調べてみると、確かに蘭州はイスラム教徒の方(回族というみたい)が多く、名物料理は牛骨でとった「蘭州牛肉麺」で、中国全土においてかなり有名とか。黄河北岸の金城路には「牛肉麺一条街」と呼ばれるラーメンストリートまであるそう。へぇ〜このラーメンは蘭州の郷土料理なのかと妙に納得。それと同時に、つくづく食って奥が深くっておもしろいな!  と思ったことはいうまでもありません。もしかすると、いま飲食業界のみなさんが注目しているハラール店に、限りなく近いお店なんじゃないかしら♪

上品な牛骨スープと13種以上の生薬が入った絶品・薬膳ラーメン


続いて気になったのが、蘭州ラーメンに入っている生薬でした。食べた感じは、ほんのり八角の香りがする程度。とってもバランスがいいスープなので、ほかに何が入っているのか舌だけではよく分かりません。聞けば、花旗人参、党参、陳皮、桂皮、八角、丁香、草果、香果、山椒、白扣、草扣、白葱、大棗など13種以上がブレンドされているんだとか。白扣、草扣だけが初めて出会った生薬で、読み方も内容も分からず。ご主人にうかがうとどうやら生姜系のハーブだそうですが、なかなか日本では手に入らないそうです。

写真は店内に飾ってある生薬です。訊けば、どんな生薬が入っているのか分かりやすいように手作りしたんだとか。生薬もこうやって飾ると、キュートな雰囲気になりますね。さらに店内にあった薬膳ラーメンの解説にはこのようなことが書いてありました。
・新陳代謝を促進し、身体を温めます。
・血液の循環をよくし、冷え性を改善します。
・飲み過ぎの方の元気回復と二日酔いに。
・夏バテ知らずのスタミナ料理です。
とのこと。心あたりの症状がある方は、ぜひとも北九州・小倉の「蘭州ラーメン」へ行ってみてください。ちなみに、薬膳ラーメンの辛さは「控えめ辛・普通辛・中辛・激辛」の4段階になっているので、お好みでチョイスできますよ♪
<ショップデータ> *2016年5月現在
蘭州(らんしゅう)
福岡県北九州市小倉北区古船場町7−7
電話093-531-6999
営業時間は11:30~14:00 、18:30~24:00 水曜は夜のみ 
日曜定休
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