まさか自分が薬膳のセミナーをしたり、薬膳の料理教室などをしたりするなんて…正直、思ってもみませんでした。私が薬膳を学んだのはあくまでも自分の体調管理のため。ここまでの経緯は前回にお話した通りで、それがどういうわけで、こういった活動をするようになったのかをお話しいたします。
薬膳うちごはんの誕生は、SNSで投稿した料理写真から
きっかけはSNS(facebook)でした。当時、私は企業のコンサルタントもしていたため、「これからの時代は上手にSNSも活用しなければなりません!」とえらそうなことを言おうとしたのですが、我こそが…ちっとも分かっていない。そこで、真剣にSNSと向き合うことにしたのです。ここで自分に課したノルマが、内容は何でもいい。一日一投稿しよう!ネタがない日には、「仕方ない! うちの朝ごはんでもあげとくか!」といった感じ。しかし、この考えなしの行動が、思わぬ流れを起こしてしまうのです。
どうやら周りの人たちは私のことを、仕事ばかりしていることもあり、外食ばかりで料理をしない人と勝手に思っていたようです。投稿した手料理の写真を見て、大変驚かれました。この反響に私の方こそびっくりです。それはおそらく、仕事で料理撮影の現場に立ち合っていること、またフードコーディネータに頼む予算がないときには、調理もスタイリングもすべて自分でやってことが功を奏したものだと思われます。ちなみにこのサイトのヘッダー写真のお料理も、わざわざ撮影用に作って撮ったものではなく、すべて普段のうちごはんです。そのうち「料理を教えて!」「教室を開いて!」 なんてご要望も入るようになりました。それでもまだ、私の心は全く動かず。相変わらず取材に飛び回り、原稿の〆に追われる多忙な日々を過ごしていたのです。
SNSを見てくれていた編集者から、仕事が舞い込むように
ある日のこと。以前からの知り合いである雑誌の編集者から電話が入りました。SNSで投稿していたお弁当の画像が欲しいとのこと。それはあまりにも普通すぎたので、雑誌掲載用には左の写真を作り直しました。またある時には、ある産地の食材を使ったレシピを考案したり、料理画像の提供をしたり。数こそは少ないものの、だんだん食関連の話が舞い込むようになりました。
そして極めつけは、2015年の秋に薬膳セミナーをしてほしいという依頼でした。場所は福岡市内のど真ん中に位置していたドコモラウンジでの開催で、ちゃんと講師料も払ってくれるとおっしゃいます。私は基本、裏方人間だと思っているので、これまでテレビやラジオの取材などは丁重にお断りてきました。よって、お返事するまでには少々悩みましたが、お声をかけていただくうちが花だと思い、思い切って引き受けることに。そこで、次に考えたのがどんな薬膳の話をしようか…という課題でした。
お客さまの層を考えると、専門的なことよりはおそらく生活に密着していて、毎日のごはんに取り入れるようなことがいいだろう。とはいえ、薬膳学院で学んだことだけを話すとなれば、卒業生なら誰もが話せる内容になる。せっかく私にお声をかけていただいたのだから、私にしか話せない薬膳の話って何だろう…と真剣に考えたのです。
結論は…背伸びをしてもしょうがない!そもそも自己管理のひとつとして学んだ薬膳だったわけだから、私が日々実践しているうちごはんの話をすればよいのではないか。加えて、取材で出合った食材や調味料の話も加えよう。それならしっかりインタビューしてきているので、生産者さんの思いや現場の話もできるなと思いました。少々長くなりましたので、次回に続きます!