薬膳うちごはんとは健康を維持するための養生食のひとつであり、いま自分の住んでいる土地で育った旬の食材を、体質に合わせて調理する料理と定義づけています。ならば、場所が変わっても、海外にいたって、薬膳うちごはんは実践できるのではないか!? この好奇心からParisで実験してみることにしました。
薬膳うちごはん in Paris♪ 暮らしているかのような旅
私事ですが20代の頃から、“いつかパリで暮らしてみたい”という夢がありました。その夢は今のところ叶わず。ですが、2014年4月にまるでパリに暮らしているかのような旅を満喫することができました。その頃はすでに中医薬膳師や薬膳アドバイザーの資格も取得していましたので、よし! 薬膳うちごはんをParisで実践してみようと思いついたのです。
本来ならば3ヶ月ほど滞在したい気持ちでいっぱいでしたが、仕事の関係上それは到底ムリな話。ギリギリで許せる時間ということで丸々1週間の休暇をとり、友人とともにパリ市内の16区にある素敵なアパルトマンを借りました。私たちが借りたアパルトマンは、写真のようにごくごく普通の立派なアパルトマン。ほかの部屋は住人が暮らしています。どうやら一室だけを旅行者に貸しているタイプのようでした。ですから、気分は本場さながらのパリジェンヌ(笑)。キッチンもコンパクトながらとても使いやすかったので、楽しくお料理を堪能することができました。
マルシェの素敵なディスプレイに、創作意欲が大いにわきました!
アパルトマンに荷物を置いて、早速出向いたのはMarché de Grenelle。普通の一般的なマルシェだったのですが、何が驚いたかってディスプレイのセンスのよさです。絶妙な配色バランスもさることながら、日本であれば籠にのせて売っているような野菜たちがキレイに美しく並べられているではありませんか! ラディッシュに至っては数本ずつ束ねてあって、まるで花束のようです。これには大いにテンションがあがりました。
トマトもチコリもこんな風に整列して並べてあると、とっても魅力的!! 見せ方ひとつで、なじみのお野菜がものすごくオシャレなものに見えてくるから、これまた不思議です。
エビもね、みんなでこっちを見ているんです。いきなり何十匹のエビさんと目が合ってしまい、少々戸惑うシーンも(笑)。もう、どれもこれもが洗練されているのです。こういった素敵なディスプレイを眺めていると、フツフツといろんなアイディアがわいてきます。
なかでも特筆すべきは、お魚売り場。購入したお魚をその場でさばいてくれるサービスは日本でもありますが、何に感動したのかといえば、私たちはマテ貝を買っただけなのですが、袋の中に臭み消しの大量のパセリやレモンが丸ごと1個入っていたこと。もちろん追加料金などなくて無料。当然のように入れてくださいました。いいサービスだなぁ〜と感動を覚えたことは言うまでもありません。
そして購入したのがこちら! 何の計算もしていなかったのですが、これらを上手に使い回して滞在中キレイに食べきりました!
Parisの食材を使って、野菜中心の見た目もキュートな薬膳うちごはん♪
初日の夜ごはんは…マルシェの素敵なディスプレイに触発されて、なんとなく見せる料理を意識してしまいました。チコリをお皿に見立ててお花の花びらのカタチにして、
・キャロット・ラペ(ニンジンのサラダ)
を交互にのせて、中心には白とピンクのラディッシュを並べ、その真ん中にはビーツのサラダを置いて色のコントラストを考えました。このほかにサラダは、ラディッシュとアスパラガスのとうもろこしみそ和えと、ホワイトアスパラガスのソテーには、フェンネルの葉で作ったマヨネーズベースのソースをかけて。一方、マテ貝のレモン煮には魚屋さんでいただいたパセルをオイル仕立てにしたソースを作ってざっとかけました。少々分かりにくいですが、コーヒーカップに入れたのはマテ貝で出汁をとったシンプルなビーツのスープ。見ての通り野菜中心。バターを一切使わずしてのうちごはんになりました♪
このパスタは初日に作ったビーツスープの進化形です。最終的にはパスタソースに仕立て楽しみました。前にも書いたようにマテ貝で出汁をとっているので、しっかりコクが出ていてなかなかおいしい仕上がりに!