横浜の中華街で、あまりにも有名な中華料理店の老舗的存在の聘珍樓(へいちんろう)。こちらでは2010年の春から薬膳料理を取り入れています。
2016年10月のテーマは、「舒筋活絡(じょきんかつらく)」
かねてより聘珍樓のメールマガジンに目を通したり、都内在住の友人らから情報は入っていたのですが、先日、小倉店にてランチのアンチエイジング薬膳コースをいただいてきました。毎月、季節に見合ったテーマで展開している聘珍樓自慢のランチ。10月は“軽身耐老”とのことから、「舒筋活絡」。要するに、筋力、体力の衰えをストップするアンチエイジング薬膳というわけです。私事ですが、いま現在、筋トレ中なので願ってもいない最適な薬膳料理と相成りました。
一品目:三食前菜の盛り合わせ
右から「鶏肉の滷水煮込み」、「頭くらげのガーリック和え」「豆あじ南蛮漬け」。初めて聞いた滷水(ルースィ)とはなんぞや? と思えば、聘珍樓に伝えられている秘伝のたれなんだとか。八角、カルダモン、桂皮など温裏効果のあるスパイスが複合的に使われていました。
二品目:牛テールと菊花のとろみスープ
個人的には今回のコースの中で一番、気に入ったお料理です。温性の牛テールをとても上手にあしらっていた極上のスープだと思いました。
このレベル、なかなか素人にはマネできないのですが、いつかこんな味も自分で作れるようになりたいなぁと思ったとてもおいしい一品でした!
おそらくここに含まれているコラーゲンが、筋や筋肉の伸びやかな動きをサポートしてくれるに違いありません。
三品目:旬野菜のトリュフオイル炒め
これもそれなりにおいしかったのですが、なんというか想像できる味でした。
青梗菜のシャキシャキ感、シンプルに炒めたきのこの食感&存在感。見た目通りの味。コース料理の中にはこんなテンションの一品もあるよねというお料理です。
四品目:鱈の柱候醬煮込み
まず最初に気に止めたのが、柱候醬という名前。聞けば、聘珍樓オリジナルの醬(ジャン)だとおっしゃる。
口にすると、八角、山椒、陳皮、カルダモンの香りがほんのりと! 肉厚の鱈にいい感じマッチしていました。
そっか醬(ジャン)って、自分好みにオリジナルで作ってもいいんだと思わせてくれた一品となりました。
五品目:はとむぎ、アオサ入り粥
さすがは聘珍樓。粥といっても、プロが作った粥といった風情の一品です。あっさりしていながらも、しっかりコクのある粥でした。お出汁は何だろうと、集中して舌で感じようと試みましたが、残念ながらよく分かりませんでした。
はとむぎはヨクイニンともよばれ、水分代謝を促すことからむくみにもいいし、シミ、ソバカス、肌あれといった肌トラブルにも期待できます。
六品目:ココナッツシャーベット ぶどうジュレ
このキレイな色はなんとぶどうの皮を丁寧に処理して作ったものなんだそう。
抗酸化たっぷりのアントシアニンが入ったジュレの下には、甘さ抑えめのココナッツシャーベットがありました。
以前、聘珍樓で食事をした時には、薬膳料理は出していなかったのに、なぜだろう? と思い調べてみました。すると、淳子マダムのお姑さんが大病を患った時に、前総料理長の謝さんが薬膳スープを作ってもってきてくれたそう。ここで薬膳料理に感銘を受けて、2010年の春から国際中医師、国際中医薬膳師の太田ゆう子さんを迎えて薬膳セミナーを催したり、西崎総料理長の壷蒸しスープを柱とした薬膳のフルコースを出すようになったとのことです(※1)。ちなみに毎月、コース料理込みの薬膳セミナーも開催されています。詳しくはこちらをご覧ください。
(※1)資料参照は『聘珍樓のいちばんやさしい薬膳』 (PHP研究所)より
聘珍樓(へいちんろう)のいちばんやさしい薬膳