気の巡りを“香り”でほどく。自家製陳皮の作り方と養生食

三寒四温。ひと雨ごとに、暖かさが増す春先です。心が浮き立つ季節なのに、なぜか理由のないイライラを感じたり、喉に何かが詰まっているような違和感を覚えたりすることはありませんか?

この症状、薬膳の世界では“気滞”と呼ばれる状態で、冬の間に溜め込んだエネルギーが、春の陽気に誘われて一気に動き出そうとするものの、スムーズに流れず滞ってしまうことで起こる不調なのです。

この“滞った気”を動かすために、春の養生で最も大切になるのが、“香り”の力。特にこの時期は、アロマテラピーのケアも非常に有効です。

食の世界で気軽に手に入るものといえば、私たちが日常的に手にするミカンの皮。これを乾燥させた“陳皮”は、気を巡らせる働きにとても優れた食材なのです。

“捨ててしまえばゴミ、干せば自分をご機嫌にする生薬”

市販のものにはない弾けるような香りと、自分で作る安心感。 あえて手間をかけてまで“自家製”にする理由と、失敗しない一生モノの陳皮の作り方をお伝えします。

陳皮が「気の滞り」に効く理由

陳皮の食物性味は、五性は温性、五味は辛味・苦味、帰経は脾・肺・胃。身体を内側から温めながら、気の流れを整える“理気作用”に優れた生薬です。 主な働きは以下の三つ。

  1. 理気(りき)——滞った気を動かし、イライラや胸のつかえ、喉の違和感をほぐす

  2. 健脾燥湿(けんぴそうしつ)——胃腸の働きを整え、余分な湿気を取り除く。食欲不振や胃もたれにも

  3. 化痰(かたん)——痰を切り、咳を落ち着かせる。肺の気道を通りやすくする

漢方処方への配合数は非常に多く、単独で使うというより“ほかの素材と組み合わせて全体を調える、いわば”縁の下の力持ちのような存在です。香りそのものに気を動かす力があるため、食べるだけでなく、嗅ぐだけでも養生になる珍しい食材といえます。


みかんの汚れは天然のアルカリパワー「貝炭」でしっかり落とす

本来、陳皮は温州ミカンと言われていますが、わたしの場合は特にこだわらず、なんでもあり。なんなら、柚子の皮だって陳皮に仕上げてしまいます。 作る前に一番気になるのは、やっぱり汚れですよね。皮には農薬やゴミがついていることもあるので、そこはしっかり洗って安心したいところ。そこでおすすめしたいのが、「貝炭(かいずみ)」です。

↑ 袋から出すとこんな白い粉。我が家はガラスの瓶で保管しています。

なぜ貝炭は「魔法の粉」なのか?

単なる汚れ落としではありません。有明海の貝殻を高温で焼成して作られた貝炭は、強力な強アルカリの力を持っています。水に溶かすだけで、表面に付着した展着剤(農薬をくっつける糊のようなもの)やワックス、目に見えない雑菌を浮かび上がらせてくれるのです。

洗浄の3ステップ

  • 溶かす: ボウルに水を張り、貝炭(パウダー)をパラパラと振り入れる。

  • 浸ける: ミカンをそのまま5〜10分ほど浸け置きする。

  • 驚く: しばらくすると水が濁ったり、油のような膜が浮いてきたりする。

これが汚れが落ちた証拠。最後に流水でキュッとするまで流せば、皮まで安心して使える“養生素材”に生まれ変わります。

実は、この貝炭を開発された武富勝彦さんとは昔からの知り合いで、以前は一緒にごはん会を催したほど。その時の記事はこちらです。作り手の想いを知っているからこそ、私はこの力を信じて使い続けています。もちろん、みかん以外にも食材ならなんでも使えるので、かなりおすすめ。1袋で結構持ちます。

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陳皮作りは気負わない。気が向いた時にほったらかして作る

洗い終わったら、指先で食べやすい大きさにちぎっていきます。よく“中の白いワタを削ぐ”という話も聞きますが、私はそのまま。あまりに大きいものだけをひょいと取る程度で、あとは気にしません。実はこの白い部分にも“ビタミンP(ヘスペリジン)”などの栄養が詰まっていると言われています。

皮をカゴにのせ、ネットに入れて、基本は日当たりのいい部屋の中で干します。空が澄んでいて、外の空気がきれいな日だけ、ベランダでお日様に当ててあげる。

あとは、だいたいほったらかしです。また、干して何日とかも決めずに、思い出した時に触ってみて、バリバリになったらできた証拠。私はこのバリバリになった皮を、手やハサミで使いやすい細かさに整えて、保存用の瓶に入れて常温保存しています。

というのも、陳皮の“陳”には“古い”という意味があります。できたてのフレッシュな香りも良いですが、1年、2年と寝かせることで香りはまろやかに、価値は深まっていくと感じています。


春の気を巡らせる、陳皮の楽しみ方

① みつばと陳皮とじゃこ、自家製ゆかりの「巡りおにぎり」

春の香りの主役・みつばと、細かく砕いた陳皮、そしてじゃこと自家製のゆかりを炊きたてのごはんに混ぜ込みます。みつばと陳皮の香りが滞った気を動かし、ゆかりのほのかな酸味が春の高ぶりをキュッと落ち着かせてくれます。じゃこにはカルシウムもたっぷり。炊きたての湯気にのって立ち上がるみつばと陳皮の香り。ひとくち頬ばると、胸の奥がふっとゆるむような感覚があります。

② ぬか床も一緒に健やかに

羅臼昆布、赤唐辛子、山椒の実、天然塩とともに細かくした陳皮を、そのままぬか床へ。ぬか床を健やかに保ってくれるだけでなく、混ぜるたびに柑橘の爽やかな香りが立ち上がって、お手入れの時間も楽しくなります。漬け上がったお野菜をポリポリいただくと、さらに巡りが良くなる気がします。

③ 空間を浄化する「香りの養生」

陳皮をさらに粉末にしてお香を作り、焚くのもおすすめです。お料理とはまた違う、深く落ち着いた香りが部屋を満たしてくれますよ。導入でお話ししたアロマのように、鼻から届く香りの力は心身のこわばりを優しくほどいて、深いリラックスへ導いてくれます。

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 愛犬家に朗報! 陳皮の香りはワンちゃんの認知症にもよいとか

陳皮の香りが“犬の認知症”にも良いという研究で、イグ・ノーベル賞を受賞されたお医者様の報告もあります。(詳しくはググってね!)香りの力は、私たち人間だけでなく、大切な家族であるワンちゃんの健やかな毎日にもそっと寄り添ってくれる、そんな可能性を秘めているのです。実に興味深いですよね。

捨てるものに価値を見出す。これも薬膳の視点のひとつだと私は思っています。春は力まず、香りに助けてもらいながら……。陳皮はそのための、小さくて頼もしい相棒です。

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