うちには数種類の薬効食品を常備しています。その日の体調と相談しながら料理に加えたりすることも。今回はその中のひとつ、通年必要な時に使っている“金針菜”をとりあげます。
野菜なのにタンパク質を多く含む、優秀な薬効食品“金針菜”
金針菜と書いて、キンシンサイと呼びます。本萱草(ほんかんぞう)というユリ科の植物のつぼみを乾燥させたもので、日本ではあまりなじみがありませんが、植物なのに高タンパク、高カロリーなので中国では夏バテに役立つ野菜として重宝されています。もちろん、このまま食べるわけではありませんよ。
写真のような感じで水で戻してから使用します。調理方法も幅広くスープに入れたり、炒めたり。無味無臭というわけではありませんが、決してクセのある薬効食品ではないので我が家のうちごはんでは「ちょっと疲れたな〜」「また顔や身体がむくんできた?」なんていう時によく登場します。
夏バテにもおすすめの金針菜。身体にうれしい効果も続々!
金針菜が夏バテにおすすめと書いたのは理由があります。東洋医学的な見地からいえば…
・安中和胃(あんちゅうわい)…暑気あたりによる食欲不振から胃腸の働きを回復させる。
・安中和胃(あんちゅうわい)…暑気あたりによる食欲不振から胃腸の働きを回復させる。
・養血平肝(ようけつへいたん)…造血を助けて肝の熱邪を収める。
・利水消腫(りすいしょうしゅ)…利尿作用によりむくみを解消する。
という3つの効果が期待できます。
なにやら、四字熟語のような漢字が並ぶとたちまちむずかしそう〜と思ってしまう方もいるかもしれませんが、順を追って解説すると…
・夏バテして食欲もなくなっていませんか? 食べても気分悪くならないように胃腸の働きを回復させますよー!
・私たちが生きているうえで血は大事。とりわけ東洋医学では気・血・水のバランスが大事だと声高に唱えています。その血を造るのをサポートして肝に溜まった余分な熱を収めますよー!
・この時期、身体のむくみを感じていませんか? 利尿効果を促してそのお悩み(むくみ)を解消しますよー!
という意味なのです。
ナマの金針菜には毒性も! デメリットもちゃんと理解しておきたい
つい先日、たまたまナマの金針菜を手にすることができました。乾燥ではなかなか想像できなくても、ナマを見ると「なるほど、ユリ科の植物のつぼみなのだなぁ」と理解できます。金針菜の旬は6〜10月。調べたら、どうやら以前取材させていただいたアジアン野菜の農家さんが生産なさっている情報を聞きつけたので、近いうち取材に行けたらなぁとも思っています。
さて、ナマの金針菜。乾燥のものとは勝手が違います。というのも、ナマの金針菜は有毒(コルヒチン)。まちがって口にすれば、めまい、むかつき、吐き気、下痢などの症状が出ることがあるので、しっかり火を通すことが大切です。この日はたしか焼き豚とともに炒め物にした記憶が! ナマの金針菜の食感や味が気になる方もいらっしゃると思うのですが、見た目通りあっさり。心なしか部位によってはヌルっといった食感もありました。そうですねー。オクラの花のつぼみを口にした時の食感に一番近いように思います。
ナマ、乾燥に関わらず、金針菜を食するにあたって、注意点がもう一点あります。それは…金針菜にはホウレンソウの20倍も鉄分が入っていているので補血作用があり、そのうえタンパク質も採れるとても優秀な食材ですが、実はカロリーが高いということも忘れてはいけません。ついつい炒め物やスープなどに大量に使ってしまいがちですが、そこはほどほどに。薬効食品はメリットもデメリットもきちんと理解して、効率的にうちごはんに取り入れることをおすすめいたします。