先月バタバタと福岡空港(国際線)から夜のフライトで飛んだのは、フィリピン・マニラ。世界の美食の祭典を体験してきました。
アジアの美食の中心地!?
フィリピン・マニラで開催された「世界の美食の祭典」へ
去る4月6日から8日まで、フィリピンの首都マニラで「madrid fusion manila 2017」が開催されました。これはフィリピン政府観光省が“フィリピンをアジアの美食の中心地”となるべく活動の一環で、今年で三回目。まさかフィリピンでそんなイベントが開催されているなんて全く知りませんでしたが、今回はたまたま御縁があり、私は6日の夜中にマニラ入りして、7日の朝から「フュージョン マニラ国際美食エキスポ」のみ参加することができました。今回はそのレポートです。
本題に入る前に、まず「?」と思ったのが「madrid fusion manila 2017」というタイトル。なぜ冒頭にmadridが付くのだろうという疑問です。調べてみると、どうやらスペインで「madrid fusion」という世界的な食の祭典があっているらしく、世界のトップシェフや料理研究家、ジャーナリストが集まる国際ガストロノミー学会のサミットのひとつなんだとか。それまで料理界では料理人がレシピや料理のコツを公開することはあり得なかった時に、スペインの天才シェフ、フェラン・アドリア氏(エル・フジの料理長)が「良いものはみんなで共有すべき」と提唱。以来、2003年から毎年1月にスペインの首都マドリッドで開催されていて、EUをはじめ、世界の料理界に大きな影響力をもっているんだそう。「madrid fusion manila 2017」は、いわばそのアジア版で、スペインと縁の深いフィリピンで3年前から開催されていました。
実際エキスポを見る限り、世界というよりフィリピンの農作物や食品、食材の紹介が主だったようにも感じましたが、世界のトップシェフがステージで繰り広げる、シズル感たっぷりの調理風景はかなり見応えがありました。プレゼンは英語、もしくはスペイン語なので耳だけで聞いていると、何が何だかさっぱり分かりませんでしたが、食材や調理過程が大きな画面に映し出されていたため、だいたいの流れを把握することができます。可能ならばずっと見ていたいほど、それはそれは興味深かったです。参加シェフはフィリピン、ベルギー、スペイン、シンガポール、ボリビア、スウェーデン、インドネシア、フランス、アメリカ、イギリス、韓国、香港からの総勢21人。残念ながら、日本人はいませんでした。調理中の手元はステージ左右の大きな画面に写し出されるのですが、改めて見ると細かい作業などはやはり日本人の方が器用でうまいのに…と思わざるシーンも多々。しかし、これからの時代は技術だけではなく、英語でプレゼンできないとシェフも世界には立てないんだなぁ〜としみじみ。単に食材や料理だけではなく、そこに付随するいろんなことをリアルに感じられたことも参加できた醍醐味です。ちなみに昨年のフュージョンマニラ国際美食エキスポは217のブースが出展し、シェフ、輸出入業者、食品加工業者、飲食店、流通業者など、およそ6,000名以上の参加者が集ったそう【参考データ:フィリピン政府観光省】。数字を見るとだいたいどれだけの規模のものか、想像できるかと思います。
・フレーバーズ・オブ・ザ・フィリピン(これは1ヶ月続く)
エキスポだけではなく、ほかのイベントにも参加できていれば、もっと世界の食の動向などつかめたかもしれませんが、今回はタイムアウト! さらに言葉の壁もあって、残念ながら詳細の取材はできず。残念無念でした。
自然の素材を使った演出がとても上手!
バナナの葉!? で作られていた小皿に胸キュン♡
催事内の会場は国内で見る雰囲気とさほど変わりはありませんでしたが、何といっても目を引いたのは自然素材の演出のうまさ。豆類をあしらってロゴや文字を表現した看板や、植物の葉で作るオブジェ!?、さらには野菜だって果物だって、キレイに盛ることで装飾品になっちゃうのですから、それは見事。ちょっとした試食用のお皿もプラスチック製ではなくキュートな木製なら、野菜や卵などを包むパッケージのセンスの良さにも目を奪われました。なんというか、引き算の美学が生きているというのか、いい意味で感性が触発されたことは言うまでもありません。そのなかでも、ディスプレイがものすごく上手なハイセンスのブースがあって、えぇ〜割れたお皿? イヤ、わざと割ったのか? その皿をこんな風に使う? と斬新なアイデアもあり、記録用に写真も撮りまくり。数年前、パリのマルシェで見たディスプレイの感動とはまた別物の楽しい発見がたくさんありました。
お昼すぎ。ちょうど小腹も空いてきたところで、同じビル内にあるREGIONAL LUNCHESのフロアへ。ドアを開けた瞬間、目に飛び込んできたのは、人、ひと、ヒト…だらけで熱気もムンムン。それと同時に鼻をくすぐるようなおいしそうな匂いに私のお腹も反応して、ぐぅーとなりました。そう、食いしん坊にはたまらない空間なのであります。周りを見渡すと会場内の至るところに小さなブースがあり、さまざまな料理が所狭しと並べられています。試食したい人はブースの前に列んで料理がのったお皿をもらって、立食でいただくスタイル。人気の料理があるブースにはすでに長蛇の列で、写真のように人がごったがえしていました。
最初にいただいたのは、バナナの葉!?かしら? 丁寧に編んで作られていた、小さなお皿に盛られた料理です。燻製にした豚肉があしらわれていたお料理のようでとってもおいしかったのですが、それよりも感動したのはこの器。どんな風になってんのかな? 頭の中の記憶の引き出しに入れておきたくて、思わず空になったお皿をじーと見入って、忘れないように写真も撮ったほど。こういった演出、日本ではなかなか見ないんだよなぁ。どうやって作るのだろう。とっても素敵です!
そんな感動もさておき、まずは空腹感を埋めようと、心して長蛇の列にならび、片っ端から食べていくことに。写真を撮り、お皿を手にしては食べ、また撮っては食べる。それは立食スタイルというより、並びながら食べるスタイルともいうべきか? 当然ながらお行儀はよろしくありませんが、あまりの人数の多さでスタッフのオベレーションがうまく機能していないので仕方がありません。しかし、これも旅の恥はかきすて的な発想で、一緒に出向いた仲間たちと笑いながら、モクモク食べておりました。よーし、会場内にある料理、全部食べちゃおう〜! と気合いを入れたのもつかの間、意外や意外、立食というのはすぐにお腹がいっぱいになるもので(これも新たな発見!)、結局半分以上のブースの料理は食べられずじまい。こんなことなら朝ごはんを控えめにしておくべきだったと後悔しましたが、時すでに遅し。
これぞ別腹!
カカオ尽くしの絶品スイーツに出合う♪
もうダメ! 何にも食べられない! というぐらいにたくさん食べたのに、ある絶品スイーツに出合ってしまいました。それは…カカオのリキュールに丸いチョコレートが沈められたもの。蓋として被せられているのは、カカオ入りのホワイトチョコレートのようです。リキュールに漬かったチョコレートを食べて、リキュールをクイっと飲む。スイーツが少々苦手な私でもこれは別格。めっちゃうまい。調子にのっておかわり〜と言わんばかりに再度列ぶと、そのブースはたちまち人だかりになり、そのうち蓋のチョコレートは半分になり、次に見た時には、もう蓋はなしになっていました。こういったアバウトさも南国のよいところ。微笑ましく思いながらも、このカカオリキュールがすごぶるおいしかったので、瓶のパッケージを見せていただくことに。もちろん、どうにかして手に入れられないかと思ったのですが、さすがにこれは稀少価値の高いものでなかなか手に入らないんですって! 残念…。
私事ですが、ここ数年、ケータリングやらごはん会やらで、20人、25人といった大人数の料理を作ることも増えてきて、料理の盛り方や見せ方にはいつも頭を悩ませていたのですが、この会場では「へぇ〜」「なるほどね〜」「そういう手もあるのか!」と勉強になることばかり。そのうちいろんなインスピレーションがわいてきて、あんなこともできる、こんなこともできる、と新たな発想が次々に浮かんできて思わずメモしたほど。この章の冒頭にも述べましたが、やはり自然素材をうまく使っていることに感動しきりでした。madrid fusion manila 2017のレポートはこれにて終了。次回は世界屈指のスパリゾート “THE FARM AT SAN BENITO”に続きます。