まぼろしの器“臼杵焼”の蔵出し市へ

臼杵焼を知ったのは、ちょうど今から2,3年前。臼杵焼プロジェクトの記事をネットで見つけたのがきっかけでした。江戸時代に作られていたまぼろしの焼物の復元? あとでこの話は補足しますが、器好きとすればもう考えただけでワクワク。実にロマンのある話です。できあがった臼杵焼を目にすると、菊を模したマットな白磁の器がとっても美しくて。たちまち魅了されてしまいました。いつか手にとってみたいなぁ。そして、時間は流れ、臼杵焼蔵出し市の存在を知ったのは、昨年2018年のことです。確か大雨が降っていて、何かの用事と重なりあえなく断念。その後、偶然、福岡市内の百貨店の展示会でお目にかかりました。実際手にとってみると、臼杵焼は思ったほど薄くない。意外としっかりした造りなんだわ。やっぱり素敵だなぁとうっとり。今年こそは蔵出し市に行かねば! とそのチャンスを虎視眈々と狙っていたわけです。

臼杵焼が“まぼろしの器”だった所以

臼杵焼は、国宝臼杵石仏で有名な大分県臼杵にあります。タイトルに“まぼろしの器”と書いたのにはワケがあり、その歴史が物語っています。臼杵焼のコンセプトブックによれば、そもそも臼杵焼は今から200年前の江戸時代後期に、臼杵藩の御用窯としてスタート。当時、臼杵焼とは呼称しなかったようで、窯場があった地名から末広焼や皿山焼と呼ばれていたそう。ここでは島原(長崎)、小石原(福岡)、小峰(宮崎)から呼び寄せられた陶工4家族によって作陶していましたが、窯が開かれてから10数年は栄えたものの、その後は衰退して途絶えてしまったのだとか。そこで、忘れ去られていた臼杵の窯業文化を再度復興させようと、残された資料などから現代版臼杵焼を作ったのが、先に少し触れた臼杵焼プロジェクトなのであります。USUKIYAKIと記されたコンセプトブックもセンス抜群で、モノクロとカラーの写真を上手に編集し独特の世界観を醸し出しています。中のテキストも日本語と英語のダブルランゲージで構成されているので、もしかすると海外進出を狙っているのかもしれません。(下の4枚の写真はコンセプトブックから抜粋したものです)




念願の「臼杵焼蔵出し市」はやっぱり素敵で、
即決即断の私が大いに悩みに悩む

蔵出し市の会場だったギャラリーSARAYAMAはすばらしくセンスがよく、田舎っぽさは皆無。さりげなくかざられた花の活け方も、選ばれた家具も照明も、いい意味で今っぽい。そんな気持ちのよい空間に、ずらりと積み重ねられた臼杵焼は圧巻そのもの。どれもホントに素敵で、いつもは即決即断の私を大いに悩ませました。




「器は料理の額縁である」というコンセプトを掲げている臼杵焼だけあって、器を眺めているだけでも、こんな料理をのせよう、あんな料理もいいなぁと想像がどんどん膨らみます。また、単体でも十分素敵なのに重ねたり並べたりすると、また違った風合いがでてきて、さらなる妄想がもくもくと(笑)。いろんなスタイリングが楽しめそうです。蔵出し市といっても、有田や波佐見のような陶器市の感覚でいくと割高感があります。そもそも定価が若干高価なのもありますが、10%〜30%引きのものが大半で、もっと割引率が高いものは数自体が少なかったように感じました。ちなみに、蔵出し市はクレジットカードや電子マネーは使えません。買う気満々の方はお財布に現金のご用意を!

令和元年のごはんに、お赤飯を炊きました
臼杵焼の器でいつもの地味なごはんがぐっと華やかになりました

翌日のごはんの一例です。一部、購入した臼杵焼を使ってみました。器ってホント不思議。いつものなんでもない地味なごはんも、新しい器ひとつで気分が上がるのですから。この日は令和元年5月1日でしたので、お赤飯を炊きました。3種類の小豆を使い、白米は一切入れずにもち米だけのお赤飯です。

<臼杵焼の公式ウェブサイト>
https://www.usukiyaki.com

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